166-1)債権者は、連帯債務者の一人に対して全部又は一部の履行を請求することができる。 
※民法432条。
※債権者は、連帯債務者の誰に対しても全部の履行を請求することが出来る。 
166-2)連帯債務者の一人について無効又は取消の原因があっても、他の債務者の債務の効力には影響しない。 
※民法433条。
※連帯債務者の一人について無効・取消の原因があっても、他の連帯債務者の債務は完全に有効に成立する。 
166-3)債権者が連帯債務者の一人に対して履行を請求した場合、その請求の効力は、他の債務者には及ばない。  ×
※「及ばない」→及ぶ。
※履行の請求には、絶対的効力があるので、履行の請求の効果は、他の債務者にも及ぶ。よって、連帯債務者の一人が履行の請求を受けた場合、他の連帯債務者も履行の請求を受けたことになり、履行延滞や時効中断の効果を受けることになる。 
166-4)連帯債務者の一人と債権者との間で更改がなされたときは、他の債務者は、債権者に対しては債務を免れる。 
※連帯債務者の一人がした更改には、絶対的効力がある。
※更改には、絶対的効力があるので、他の債務者は、債権者に対しては債務を免れることになる(民法435条)。なお、この場合、連帯債務者間においては、求償関係が生じる。 
166-5)連帯債務者の一人について時効が完成したときは、その債務者の負担部分について、他の連帯債務者も債務を免れる。 
※連帯債務者の一人についての時効の完成は、その連帯債務者の「負担部分の限度」で絶対的効力を有する(民法439条)。よって、その債務者の負担部分について、他の連帯債務者も債務を免れることになる。 
168-6)連帯債務者の一人に対してなした債務の免除は、他の債務者に対して何ら影響を与えることはない。 ×
※「何ら影響を与えることはない」→免除を受けた債務者の負担部分についてのみ影響を与える。
※連帯債務者の一人に対する債務の免除は、その連帯債務者の「負担部分の限度」で絶対的効力を有する(民法437条)。よってその債務者の負担部分について、他の連帯債務者も債務を免れることになる。
168-7)連帯債務者の一人が時効の利益を放棄しても、他の債務者に対して何ら影響を与えることはない。
※時効の利益の放棄は、民法434条から439条までに列挙されていない事由であるので、他の連帯債務者に影響を及ぼさない。
168-8)連帯債務者の一人が債務を弁済しても、その債務者は、他の債務者に対してそれぞれの負担部分に応じた求償をすることはできない。 ×
※「できない」→できる。
※弁済をした連帯債務者は、他の連帯債務者に対して負担部分に応じた求償ができる(442条)。
168-9)保証債務の範囲は、主たる債務に関する損害賠償には及ばない。 ×
※「及ばない」→及ぶ。
※保証債務の範囲は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他債務に従たるすべてのものに及ぶ(民法447条1項)。
168-10)主たる債務について違約金の定めのない場合でも、保証債務についてのみ違約金の定めをすることができる。
※民法447条2項。
※保証債務の内容を主たる債務より重くすることはできないが(民法448条)、保証債務の履行を確実にするため保証債務についてのみ違約金や損害賠償の額を約定することができる。
170-11)保証人は、主たる債務者の有する反対債権による相殺をもって債権者に対抗することはできない。 ×
※「できない」→できる。
※保証人は、主たる債務者が債権者に対して有する債権を保証債務と相殺することができる(民法457条2項)。
170-12)AはBから1000万円借り受け、Aの依頼によってCおよびDがこの債務について連帯保証人となった。この債務の弁済期到来後、Bが、主債務者Aに請求しないでいきなりCに1000万円弁済せよと請求してきた場合、CはBに対してまずAに請求せよと抗弁することができる。 ×
「できる」→できない。
※連帯保証人は、催告の抗弁権および検索の抗弁権を有しないので(民法454条)、CはBに対してまずAに請求せよと抗弁することができない。
170-13)AはBから1000万円借り受け、Aの依頼によってCおよびDがこの債務について連帯保証人となった。この債務の弁済期到来後、Bが、Cに1000万円弁済せよと請求してきた場合、Cは500万円しか弁済する義務は無い。 ×
※「500万円しか弁済する義務はない」→1000万円全額を弁済する義務を負う。
※連帯保証人は、分別の利益を持たないので、Cは、1000万円全額の弁済義務を負う。なお、単なる保証において、保証人が数人いる場合、分別の利益がある(民法456条)。
170-14)AはBから1000万円借り受け、Aの依頼によってCおよびDがこの債務について連帯保証人となった。この債務の弁済期到来後、BがCに対して弁済請求訴訟を提起して勝訴した場合、Aに対しても時効中断の効力が生じる。
※連帯保証人への請求には、絶対的効力がある。
※なお、単なる保証人への請求には、絶対的効力はない。
172-15)AはBから1000万円借り受け、Aの依頼によってCおよびDがこの債務について連帯保証人となった。この債権の時効完成後、Aが「必ず弁済します」という証書をBに差し入れて時効の利益を放棄した場合、CもDもこの債権の消滅時効を援用することができなくなる。 ×
※「できなくなる」→できる。
※時効の利益の放棄は、相対的効力しか有しないので、主たる債務者Aが時効の利益を放棄したとしても、連帯保証人C・Dは消滅時効を援用することができる。

×
時効完成後の新たな債務発生でしょう?
172-16)AはBから1000万円借り受け、Aの依頼によってCおよびDがこの債務について連帯保証人となった。この債権の弁済期到来後、CがBに1000万円全額を支払った場合、CはAには求償できるが、Dに対しては求償することができない。 ×
※「できない」→できる。
※弁済をした連帯保証人Cは、主たる債務者Aに対して求償できるのはもちろんであるが、他の連帯保証人Dに対しても求償することができる。
174-1)特定物の引渡を目的とする債務の弁済は、特約の無い限り、債権者の現時の住所において行われなければならない。 ×
※「債権者の現時の住所」
→債権発生時にその物が存在した場所。
※契約に履行地についての定めが無い場合、特定物の引渡債務については、「債権発生時にその物が存在した場所」が履行地になり、特定物の引渡債務以外の債務については「債権者の現時の住所」が履行地となる(民法484条)。
174-2)債権の目的が特定物の引渡であるときは、弁済者は、引き渡すべき時の現状ではなく、債権発生時の状態で引き渡すことを要する。 ×
※「引き渡すべき時の現状ではなく、債権発生時の状態で」→引き渡すべき時の現状で。
※債権の目的が特定物の引渡であるときは、弁済をする者は、その引渡をすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない(民法483条)。
174-3)弁済の提供は、債務の本旨に従った現実の提供であることを要し、債権者があらかじめ受領を拒んだからといってそれが軽減される事はない。 ×
※「軽減されることはない」→軽減される。
※弁済の提供は、債務の本旨に従った「現実の提供」であることを要するが、債権者があらかじめその受領を拒み、または債務の履行について債権者の行為を必要とするときは、「口頭の提供」で足りることになる(民法493条)。
176-4)弁済は、原則として現実の提供をなすことを要するが、債権者があらかじめ受領を拒んでいるとき又は債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを債権者に通知し、受領を催告すれば、弁済の提供となる。
※民法493条。
※弁済の準備をしたことを通知して、その受領を催告することを「口頭の提供」という。
176-5)弁済の費用は、債権者がその費用を増加した時を除き、特約のないかぎり、当事者双方が平分して負担する。 ×
※「当事者双方が平分して負担する」→債務者が負担する。
※弁済の費用は、債務者負担である(民法485条)。
※一方、売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する(同法558条)ので注意。
176-6)弁済の額が元本、利息及び費用の合計の額に達しない時は、まず元本に充当し、順次、利息及び費用に充当しなければならない。 ×
「まず元本に充当し、順次、利息及び費用に充当」→まず費用に充当し、順次、利息及び元本に充当。
※充当の順序は「費用→利息→元本」の順(民法491条1項)。
176-7)利害関係を有しない第3者であっても、債務者の意思に反して弁済することができる。 ×
※「できる」→できない。
※利害関係を有しない第3者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない(民法474条2項)。一方、利害関係を有する第3者は、債務者の意思に反しても弁済をなすことができる。
176-8)債権の一部について代位弁済があった場合で、残りの債務について債務不履行があるときは、債権者及び代位者は、契約を解除することができる。 ×
※「代位者は・・」→代位者はできない。
※一部弁済による代位の場合、債務不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができ、代位者には解除権はない(民法502条2項)。
178-9)債権の準占有者に対する弁済は、当該準占有者が善意である場合に限り、その効力を生ずる。 ×
※「当該準占有者が善意である場合に限り」→弁済者が善意かつ無過失である場合には。
※債権の準占有者に対する弁済が有効となるためには、「弁済者が善意かつ無過失」で弁済をする必要がある(民法478条)。
178-10)相殺は、当事者の一方から相手方に対してなす意思表示によって効力を生じ、相手方の承諾を要しない。
※民法505条1項。
※民法505条から512条に規定されている相殺は、要件さえ充たせば一方当事者の意思表示によってなすことができる。なお当事者の契約による相殺もある。
178-11)相殺禁止の特約があれば、そのことを知らずにその債権を譲り受けた者でも、その債権をもって相殺とすることはできない。 ×
※「できない」→できる。
※相殺禁止の特約は、善意の第3者には対抗できない(民法505条2項)。よって、相殺禁止の特約があることを知らずに債権を譲り受けた第3者は、相殺をすることはできない。
178-12)相殺の意思表示は、相殺適状に達した時にさかのぼって、その効力を生じる。
※相殺の意思表示には、遡及効がある。
※相殺の意思表示の効力は、その時点からではなく、相殺が可能な状態(相殺適状)となった時点に遡って効力を生じる(民法506条2項)。
178-13)相殺の意思表示には、条件又は期限を付けることができない。
※民法506条1項。
※条件は相手方の地位を不安定にしないため、期限は、相殺の意思表示は相殺適状時に遡って効力を生じ、期限をつけることが無意味であるからつけることができない。
180-1)承諾の期間を定めて隔地者に対して契約の申込をした場合において、その期間内に承諾の通知が発せられたときは、通知の到着がその期間の経過後であっても、契約は、原則として成立する。 ×
※「成立する」→成立しない。
※期間内に承諾が到着しない限り原則として契約は成立しない(民法521条2項)。ただし、承諾が通常の場合にはその期間内に到着する時に発信されており、かつ、申込者が延滞なく、相手方に延着の通知を発しなかった場合には契約は成立する(民法522条)。
180-2)承諾の期間を定めないで隔地者に対して契約の申込をしたときは、いつでも撤回することができる。 ×
※「いつでも撤回することができる」→相当の期間は撤回することはできない。
※承諾期間を定めなかった場合でも、承諾の通知を受けるのに通常要すると考えられる相当な期間は、申込を撤回できない(民法524条)。
180-3)承諾の期間に遅延した承諾は、申込者において新たな申込と見なすことができる。
※民法523条。
※申込者が新たな申込と見なして、これに承諾をすると契約が成立する。
180-4)承諾者が契約の申込に条件を付け、その他の変更を加えて承諾したときは、その申込を拒絶したことにはならない。 ×
※「申込を拒絶したことにはならない」→申込の拒絶をしたものと見なされる。
※申込の拒絶とともに、新たな申込をしたものとみなされるので(民法528条)、相手方がこれに承諾をすると契約は成立する。
182-5)同時履行の抗弁権は、双方の債務が弁済期にあれば、弁済期の先後を問わず、これを行使することができる。
※双方の弁済期が到来していれば、弁済期の先後に関係なく、同時履行の抗弁権を行使できる(民法533条但書)。
182-6)双務契約の当事者の一方が訴訟をもって債務の履行を請求した場合に、相手方から同時履行の抗弁の提出があったときは、原告の債務の履行と引換に被告に債務の履行を命ずることができる。
※引換給付判決がなされる。
※「原告の債務の履行と引換に被告に債務の履行を命ずる旨の判決」を引換給付判決という。
182-7)同時履行の抗弁権は、双務契約上の債務の履行については行使することができるが、契約の解除による原状回復義務の履行債務については行使することはできない。 ×
※「できない」→できる。
※契約の解除による原状回復義務の履行債務についても、同時履行の抗弁権を行使することができる(民法546条、533条)。
182-8)自己の有する債権に同時履行の抗弁権が付着している場合には、これを自働債権として相殺することができない。
※同時履行の抗弁権が付着している債権を自働債権として相殺することはできない(判例)。これを許すと相手方の同時履行の抗弁権を一方的に奪う結果となるから。
182-9)同時履行の抗弁権は、留置権と同様に公平の観念に基づくものであるので、何人に対してもこれをもって対抗することができる。 ×
※「できる」→できない。
※留置権は物権であるために、第3者に対しても対抗することができるが、同時履行の抗弁権は、契約の相手方に対してのみ対抗することができるに過ぎない。
184-10)双務契約の債権の内容が、債務者の責めに帰すべき事由により履行が不能となり、損害賠償債務に転化した場合は、同時履行の抗弁権は、消滅する。 ×
※「消滅する」→消滅しない。
※債務不能によって、損害賠償債務に転化した場合でも、同時履行の抗弁権は認められるとするのが通説。
184-11)借地人が建物の買取請求権を行使した場合には、建物だけでなくその敷地の引渡についても、同時履行の抗弁権が及ぶ。
※建物買取請求権と建物の引渡に同時履行の抗弁権が成立するのは当然であるが、建物の引渡を拒むために、土地の明け渡しも拒否できるとするのが判例である。
184-12)民法は特定物売買における危険負担については、債務者主義を採用している。 ×
「債務者主義」→債権者主義。
※特定物売買における危険負担については、債権者主義が採られている(民法534条1項)。よって特定物売買については、債権者が危険を負担することになる。
184-13)債権者は、期限の定めのない債務について、相当の期間を定めて履行を催告し、債務者がその期間内に履行しなかった場合は、契約を解除することができる。
※原則として、相当の期間を定めて履行を催告しなければ解除できない。
※「期限の定めのない債務」以外の債務であっても同様である(民法541条)。
186-14)債務者は、相当な期間を定めずに催告した場合でも、催告の後、客観的にみて相当な期間を経過した時は、契約を解除することができる。
※条文では「相当な期間を定めた催告」が必要とされているが(民法541条)、期間が相当でなかった場合でも、相当な期間経過後は、契約の解除が可能である。判例。
186-15)債権者は、催告の期間中に債務者が履行拒絶の意思を明確に表示した場合は、その期間の満了を待たずに、契約を解除することができる。
※条文では「その期間内に履行がないときは」となっているが(民法541条)、相手方が履行拒絶の意思を明確に表示した場合には、その期間の満了まで待たずに、契約の解除をすることができる(判例)。
186-16)債務者の責めに帰すべき事由により履行不能となった場合は、債権者は催告なしに契約を解除することができる
※民法543条。
※履行不能となった場合において、催告をすることは無意味であるので、無催告で契約の解除が可能である。
188-1)未登記の建物を書面に寄らず贈与した場合において、AがBにその建物を引き渡したときは、Aはその贈与契約をを撤回することはできない。
※書面によらない贈与は、各当事者が撤回することはできるのが原則であるが「履行の終わった」部分については、撤回することができなくなる(民法550条)。未登記の建物を引き渡した場合は、「履行が終わった」といえるので、Aは、その贈与契約を撤回することはできない。
188-2)既登記の建物を書面によらずに贈与した場合において、AがBにその建物を引き渡したときは、所有権移転登記が未了であっても、Aはその贈与契約を撤回することができない。
※引き渡した場合には「履行が終わった」といえ、贈与契約を撤回することはできない(判例)。既登記の建物の場合でも引渡だけで「履行が終わった」とされるので注意。
188-3)既登記の建物を書面に寄らず贈与した場合において、AからBにその建物の引き渡しが行われていないときであっても、所有権移転登記がなされていれば、Aはその贈与契約を撤回することができない。
※登記を移転した場合は、「履行が終わった」といえるので、贈与契約を撤回することはできない(判例)。
188-4)負担付贈与においてBがその負担である義務の履行を怠るときは、Aは契約の解除をすることができる。
※負担付贈与契約については、双務契約に関する規定が準用される(民法553条)。よって、Bがその負担である義務の履行を怠った場合、民法541条、542条の規定を準用し、Aは契約の解除をすることができる(判例)。
190-5)当事者が互いに履行に着手する前に、飼い主が解約手付けを放棄して売買契約を解除した場合、売主に損害が生じていれば、別に損害賠償責任が問題となる。 ×
※「問題となる」→問題とはならない。
※解約手付による解除をした場合、原則として、損害賠償責任は発生しな(民法557条)。
190-6)売買の目的物の評価や契約書の作成に要した費用など、売買契約に関する費用は、特約のない限り、当事者双方が平分して負担する。
※民法558条。
※売買契約に関する費用は当事者が折半するが、弁済の費用は債務者が負担する(民法485条)ので注意。
190-7)特定物の売買では、引渡しの時までに当該特定物から生じた果実があれば、特約のない限り、売主は、代金の支払いを受けていないときでも、これを買主に引き渡さなければならない。 ×
※「代金の支払いを受けていないときでも」→代金の支払いを受けているときは。
※引渡し前に目的物から生じた果実は売主に帰属するが(民法575条)、売主が代金金額の支払いを受けた場合、売主は、果実収取権を失い、買主に引き渡さなければならなくなる。
190-8)売買目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払いについても同一の期限までに買主が売主に対してその代金を支払わなければならないものと推定される。
※民法573条。
※双務契約である売買契約において両当事者は同時履行の抗弁権を有しているので、目的物引渡し債務についてのみ期限の定めがある場合には、代金債務についても同一の起源があると推定するのが公平に合致するからである。
194-9)他人の所有物を目的とする売買契約は有効であり、その売主は、その目的物の所有権を取得して買主に移転する義務を負う。
※「他人の所有物を目的とする売買」を「他人物売買」と呼び、売買契約としては有効に成立する。(民法560条)。
192-10)Aは、BにA所有の絵画を預けた。Bが、この絵画を自己の物だと偽ってCに売却した場合、この売買契約は無効である。 ×
※「無効である」→無効ではない。
※他人物売買も売買契約として有効に成立し、無効とはならない(民法560条)。なお、Cが詐欺による取消を主張することは可能である。
192-11)AがB所有の土地をCに売却した。AがBから土地の所有権を取得してCに移転できない場合、Cは、契約時にAに土地の所有権がないことを知っていたとしても、契約の解除ができる。
※民法561条前段
※他人物売買において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転できない場合、買主は善意、悪意にかかわらず、契約の解除ができる。
192-12)Aは、BにA所有の絵画を預けた。Bが、この絵画を自己の物だと偽ってCに売却した場合、AがBの行為を追認したときは、絵画の所有権はBからCへ移転する。 ×
※「BからCへと移転する」→AからCへと移転する。
※所有者が他人物売買を追認した場合には、所有者Aから相手方Cに所有権が移転する(判例)。
192-13)Aは、BからB所有の絵画を預かっている。Aがこの絵画を自分の物であると偽ってCに売却し、後にBがこの売買契約を追認した場合でも、Cは契約の時を遡ってこの絵画の所有権を取得することはできない。 ×
※「できない」→できる。
※所有権が他人物売買を追認した場合、民法116条()無権代理行為の追認の類推適用により、他人物の売買契約がなされた時に遡って効力を生じる(判例)。

追認するから最初から有る
194-14)AはBからB所有の絵画を預かっている。Aがこの絵画を自分の物であると偽ってCに売却した場合、Bにこの絵画を手放す意思がないため、Aがこの絵画の所有権を取得してCに移転させることができないときは、この売買契約は無効である。 ×
※「無効である」→無効ではない。
※目的物の所有者が売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がない場合でも、他人物売買は有効に成立する。判例。
194-15)売買の目的物である建物に隠れた瑕疵があった場合、善意の買主は常に契約の解除をすることができる。 ×
※「常に」→契約の目的が達成できない場合には
※瑕疵担保責任において、契約の解除が可能であるのは「契約の目的が達成できない場合」である。民法570条。
194-16)不動産の売買において、買戻しの特約をする場合は、売買契約と同時にしなければならない。
※民法579条。
※買い戻しの特約は、売買契約と同時にする必要がある。
194-17)賃貸人が賃貸物を保存するために必要な行為をしようとする場合、賃借人はこれを拒むことができる。 ×
※「できる」→できない。
※賃貸人は修繕義務を負っており(民法606条1項)、賃貸人が賃貸物を保存するために必要な行為をしようとする場合、賃借人はこれを拒むことができない(民法606条2項)。ただし、そのためには賃借人が賃貸借をした目的を達成することができなくなる場合は、賃借人は、契約の解除をすることができる(民法607条)。
194-18)不動産の賃貸借は、これを登記しても、その後その不動産について物権を取得した者にはその効力を生じない。 ×
※「生じない」→生じる。
※不動産の賃貸借も登記をすれば、物権を取得した者に対抗することができる。(民法605条)。
196-19)Aは、Bの土地を借り、建物を建て自己名義の登記をした。その後、Bは、Aの承諾を得ることなく当該土地と賃貸人の地位をCに譲渡し、登記した。この場合、当該土地の譲受人Cは、賃借人Aに対し、賃貸人たる地位を主張することができる。
※賃貸人の地位の譲渡については、賃借人の承諾は不要である(判例)。
196-20)Aは、自己所有の土地をBに賃貸し、Bは、当該土地の賃借権の対抗要件を備えていたが、後にAは、当該土地をCに譲渡した。この場合、Cは登記なくしては当該土地の賃貸人たる地位をBに主張できず、Bの賃料の不払いを理由として当該土地の賃貸借契約を解除する権利を有しない。
※Bが賃借権の対抗要件を備えている場合、Cは、所有権の登記がなければ、賃貸人たる地位をBに主張することはできない。よってCは、Bに対して賃料の請求をすることができず、Bの賃料の不払いを理由として当該土地の賃貸借契約を解除することもできない。判例。
196-21)賃貸借契約は、賃借人が賃貸人の承諾なしに賃借権を譲渡すれば終了する。 ×
※「終了する」→終了するわけではない。
※賃借権の無断譲渡が行われた場合には、賃貸人は、原則として解除することができる(民法612条2項)のであって、当然に終了するわけではない。
196-22)Aは、Bの土地を借り、自己名義で店舗を建て、内縁の妻であるCと共同で飲食業を営んでおり、Bもそのことを知っていた。その後、Aが死亡し、Aの相続人がBの承諾を得ることなく当該店舗と土地の賃借権をCに譲渡した。この場合、賃貸人Bは、土地の賃貸借契約を解除できない。
※賃借人が賃貸借を無断譲渡しても賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合においては、解除権は発生しない(判例)。本肢の場合、賃貸人に対する背信的行為とは認めるに足らない特段の事情がある場合に当たり、賃貸人は賃貸借契約を解除することができないとされている。
198-23)AはBの土地を借り、Bの承諾を得て当該土地をさらにCに貸した。Cは、転借料を転貸借契約に定める支払期日前にAに支払っていたが、その後、Bが、Aの賃借料不払いを理由にCに対し賃借料を請求した。この場合、転借人Cは、賃借人Aに対する当該前払いをもって賃貸人Bに対抗することはできない。
※転借人は、賃料の前払いをもって賃貸人に対抗することができない(民法613条1項)。
198-24)Aはその所有する建物をBに賃貸し、BはAの承諾を得てその建物をCに転貸している。A・Bが賃貸借契約を合意解除した場合には、AはそれをCに対抗することができる。 ×
※「できる」→できない。
※賃貸人Aと賃借人Bが賃貸借契約を合意解除しても、賃貸人Aは解除を転借者Cに対抗することはできない(判例)。賃借人の債務不履行による解除は転借人に対抗できるので注意。
198-25)Aはその所有する建物をBに賃貸し、BはAの承諾を得てその建物をCに転貸している。Bが賃借権を放棄した場合には、AはそれをCに対抗することができない。
※賃貸借の放棄は転貸人に対抗できない。
※賃借人Bが賃貸権を放棄しても、賃貸人Aはそれを転借人Cに対抗することはできない。
198-26)Aはその所有する建物をBに賃貸し、BはAの承諾を得てその建物をCに転貸している。A・B間の賃貸借契約が満了によって終了した場合には、AはCにその旨を通知しなくても、それをCに対抗することができる。 ×
※「できる」→できない
※借地借家法いおいて、建物の賃貸借が期間の満了によって終了する場合には、建物の賃貸人Aは、建物の転借人Cに、その旨の通知をしなければ、その終了を対抗できない。借地借家法34条1項。
※債務不履行の場合との違いに注意。
※通知は必要。
200-27)当事者が賃貸借の期間を定めないときは、各当事者はいつでも解約の申し入れができ、申し入れの意思表示が相手方に到達したときに賃貸借は終了する。 ×
※「申し入れの意思表示が相手方に到達したとき」→解約の申し入れの日から一定期間経過後に。
※存続期間の定めのない賃貸借は、当事者がいつでも解約申し入れをすることができ、解約申し入れの日から一定期間(土地は1年、建物は3ヶ月、動産は1日)経過後に賃貸借は終了する。民法617条1項。
200-28)賃貸借を解除した場合は、将来に向かってのみ効力を生じるが、当事者の一方に過失があるときは、これに対する損害賠償の請求をすることができる。
※賃貸借の解除には、遡及効はない。
※賃貸借契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。当事者の一方に過失があれば、債務不履行に基づく損害賠償請求が可能である。
200-29)使用貸借は、賃貸借と同様、借主の死亡によりその効力を失う。 ×
※「同様」→異なり。
※使用貸借は借り主の死亡によって終了するが、賃貸借は借り主の死亡によって終了しない。
200-30)消費貸借については、返還時期の合意がないときは、貸主の請求があれば借主は直ちに返還しなければならない。 ×
「直ちに」→相当期間経過後。
※期間の定めのない消費貸借において、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができ(民法591条1項)、借主はその相当期間内に返還しなければならない。
202-31)特約がない限り、請負人は自ら仕事を完成する義務を負うから下請負人に仕事を委託することはできない。 ×
※「できない」→できる。
※請負契約は、仕事の完成が目的であるから、第3者に委託することもでき、下請負も可能である。一方、委任契約は、当事者の信頼関係に基づくものであるから、原則として第3者に委託することはできない。
202-32)請負契約に下請負契約禁止の特約がある場合、これに反してなした下請負契約は当然に無効になる。 ×
※「無効となる」→無効とはならない。
※下請負契約禁止の特約に反して下請負契約がされた場合も、下請負契約は当然には無効にはならず、請負人が特約違反の責任を負うだけである(判例)。
202-33)建物新築の請負契約に当たり、注文者が材料の全部を供給した場合には、特約の有無にかかわらず、注文者に所有権が帰属する。 ×
※「特約の有無にかかわらず」→特約がない限り。
※注文者が材料の全部を供給した場合には、注文者に所有権が帰属するのが原則であるが、特約がある場合には特約に従う(判例)ので注意。

材料と、作ったものとでは。
202-34)最高裁判例によれば、仕事完成までの間に注文者が請負代金の大部分を支払っていた場合でも、請負人が材料全部を供給したときは、完成した仕事の目的物である建物の所有権は請負人に帰属する。 ×
※「請負人に帰属する」→注文者に帰属する。
※請負人が材料全部を供給したときは、完成した仕事の目的物である建物の所有権は、請負人に帰属するのが原則であるが、仕事完成までの間に注文者が請け負い代金の大部分を支払っていた場合には、注文者に帰属する(判例)。
204-35)完成した仕事の目的物である建物に瑕疵があった場合には、注文者は修補か、損害賠償のいずれかを選択して請負人に請求することができるが、両方同時に請求することはできない。 ×
※「できない」→できる。
※注文者は、瑕疵修補請求権と損害賠償請求を同時に行使できる(判例)。
204-36)請負契約の履行に当たり生じた瑕疵の修補に代わる注文者の損害賠償請求権と請負人の報酬債権は、相殺することができる。
※注文者の損害賠償請求権と請負人の報酬請求権は、相殺が可能。判例。
204-37)完成した仕事の目的物である建物に瑕疵があって、契約をした目的が達成できない場合には、注文者は契約を解除することができる。 ×
※「できる」→できない。
※仕事の目的物が「建物その他の土地の工作物」である場合、完成後は瑕疵を理由に契約を解除することはできない(民法635条)。なお仕事の目的物が「建物その他の土地の工作物」であっても、完成前は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除が可能であるので注意(民法641条)。
204-38)請負契約に基づく請負人の担保責任は、目的物の引渡し後原則として1年で消滅するが、石造りの土地の工作物については5年で消滅する。 ×
※「5年」→10年。
※担保責任の存続期間は、原則として、目的物の引渡し(または仕事の終了時)から1年であるが、土地の工作物の場合、非堅固なら引渡しから5年、堅固(石造り、コンクリート造り、レンガ造り、金属造り等)なら10年となる。(民法637条、638条)。
206-39)請負の報酬は、仕事の目的物の引渡しを要する場合でも、仕事の目的物の完成時に注文者が請負人に対して支払わなければならない。 ×
※「完成時」→引渡時。
※請負契約において仕事の目的物の引渡を要する場合、報酬支払時期は目的物の引渡時となる。なお、引渡を必要としない場合は、仕事完成時となる(民法633条)。
206-40)請負人が約定期日までに仕事を完成できず、そのために目的物の引渡しができない場合でも、報酬の提供がなければ、履行遅滞とならない。 ×
※「履行遅延とならない」→履行遅延となる。
※請負契約の場合、請負人は、仕事の完成について先履行義務を負うので、たとえ、報酬の提供がなくても、仕事の完成がされていない以上、履行遅滞の責任を負う。判例。
206-41)注文者は、仕事完成までの間は、損害賠償をすれば、何らの理由なくして契約を解除することができる。
※民法641条。
※注文者は、仕事完成前であれば、特に理由がなくとも、契約の解除が可能。しかし請負人に対して損害賠償する必要があるので注意。
206-42)委任は、有償が原則であるが、無償であることも妨げない。 ×
※「有償が原則であるが、無償であることも」→無償が原則であるが有償であることも。
※委任は無償が原則であり、有償とするためには特約が必要とされている。民法648条1項。
208-43)無償契約の受任者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって事務を処理する義務を負う。 ×
※「自己の財産に対するのと同一の注意をもって事務を処理する義務」→善管注意義務。
※委任契約における受任者は、有償・無償を問わず、善管注意義務を負う(民法644条)。寄託(きたく)契約における受奇者は無償の場合は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって事務を処理する義務を負い(民法659条)、有償の場合は、善管注意義務を負うので注意。
208-44)受任者は、委任事務を処理するに当たり受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。ただし、果実については引渡を要しない。 ×
※「果実については引渡しを要しない」→果実についても引渡しを要する。
※受任者は、委任事務を処理するに当たり受け取った金銭その他の物、收取した果実の引渡義務を負う(民法646条1項)。
208-45)出張先の大阪で交通事故に遭い負傷したAは、東京在住の友人の弁護士Bに加害者Cと示談交渉を締結してくれるよう依頼した。AB間で報酬を支払う旨の約束があった場合でも、加害者Cが自己の責任を認めず示談交渉が決裂したときは、BはAに報酬を請求することはできない。 ×
※「報酬を請求することはできない」→履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
※受任者の責めに帰することができない事由によって委任が終了した場合には、受任者は、委任者に対して、履行の割合に応じて報酬を請求することができる(民法648条3項)。
208-46)報酬の合意がある場合には、委任の報酬は、受任者の請求があれば委任者がその前払いをしなければならない。 ×
※「しなければならない」→する必要はない。
※委任は無償が原則であるが、報酬の特約があれば有償となり、受任者は報酬の請求が可能となる。しかし、費用(民法649条)と異なり、前払いの規定はなく、報酬を請求できるのは、特約のない限り、委任の終了後である。(民法648条2項)。
210-47)出張先の大阪で交通事故に遭い負傷したAは、東京在住の友人の弁護士Bに加害者Cとの示談契約を締結してくれるよう依頼した。BはCとの示談契約を成立させるまでは、Cとの示談交渉にのぞむために東京から大阪に出張するための交通費等の諸経費をAに請求することができない。 ×
※「請求することができない」→できる。
※受任者は、委任者に対して、費用の償還請求ができるだけでなく、その費用の前払い請求もすることができる(民法649条、650条1項)。よって示談契約を成立させる前であっても、Bは、諸経費の支払いをAに対して請求することができる。
210-48)受任者が委任事務を処理するために自己に過失なくして損害を被った場合には、委任者は、無過失であっても、受任者に対して損害賠償の責任を負う。
※民法650条3項。
※委任者の受任者に対する損害賠償義務は、無過失責任であるので、委任者が無過失であっても、損害賠償責任を負う。
210-49)委任者は、委任契約をいつでも解除することができるが、受任者が委任者にとって不利な時期に解除するには、やむを得ない事由がなければならない。 ×
※「やむを得ない事由がなければならない」→やむを得ない事由は無くてもよい。
※相手方の不利な時期に解除する場合でも、やむを得ない事由といった理由は必要なし(民法651条1項)。なお、相手方に不利な時期に委任契約を解除する場合、原則として相手方に生じた損害を賠償しなければならないが、やむを得ない事由がある場合、損害賠償は不要となる(民法651条2項)。
210-50)委任契約は、受任者の死亡、破産手続開始の決定又は後見開始の審判を受けたことのいずれかの事由によっても終了する。
※委任は、、
1)委任者又は受任者の死亡
2)委任者又は受任者の破産手続開始の決定、
3)受任者が後見開始の審判を受けたことによって終了する。
(民法653条)。
212-51)寄託契約において、当事者が寄託物の返還の時期を定めないときは、受奇者はいつでも寄託物を返還することができる。
※寄託物返還の時期を定めないときは、受奇者は、いつでもその返還をすることができるが(民法663条1項)。
※定めがあるときは、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還することができない。

※寄託→民法上、当事者の一方(受奇者)が相手方(寄託者)のために保管することを約してある物(寄託物)を受け取ることによって成立する契約。 

※((一般的な意味))預け頼むこと。委託。
212-52)和解は、その内容が、公序良俗に違反する場合は無効であるが、強行規定に違反しても有効である。 ×
※「強行規定に違反しても有効」→強行規定に違反しても無効。
※和解も民法上の契約であるので、そおの内容が公序良俗に違反する場合は無効であるし(民法90条)、強行規定に違反しても無効である(民法91条)。
214-1)不当利得による善意の受益者は、その利益の存ずる限度において、返還すればよい。
※善意の受益者は、現存する利益を返還すればよい。

※不当利得→ある人が法律上の原因なしに他人の財産または労務によって利益を受け、その結果として他人に損失を与えること。
214-2)不当利得による悪意の受益者は、受けた利益の全部を返還すればよい。 ×
※「受けた利益の全部を返還すればよい」→受けた利益の全部を返還すればよいわけではない。
※悪意の受益者は、受けた利益に加えて、その利息を返還し、損害がある場合にはその損害も賠償しなければならない(民法704条)。

※善意か悪意かで返還の範囲が異なるので注意。
214-3)債務のないことを知りつつその弁済として給付をなした者はその返還を請求できない。
民法705条。
※非債弁済の場合、悪意者は返還請求できず。善意者は返還請求ができる。
214-4)債務者でもない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において、債務者が善意で時効によって債権を失ったときは、弁済者は返還の請求ができない。
※民法707条。
※他人の債務を錯誤によって弁済してしまった場合、債権者に対して返還請求することができるはずであるが、債権者が善意で、債券証書を滅失、損傷してしまった場合、担保を放棄してしまった場合には、債権者保護のため、返還請求できなくなる。
216-5)不法原因給付の不法原因が受益者についてのみ存する場合は、給付者は返還の請求ができる。
※民法708条但書。
※不法原因給付をなした給付者は、不当利得に基づく返還請求をすることができない(民法708条本文)。しかし、受益者にのみ不法の原因がある場合、給付者は不当利得に基づく返還請求をすることができる。
216-6)債務不履行の場合は、債権者が債務者の故意又は過失を立証しなければならないが、不法行為の場合は、被害者が加害者の故意又は過失を立証しなければならない。 ×
※「債権者が債務者の故意又は過失を立証・・・」→債務者が自分には故意、過失の無かったことを立証する必要がある。

※債務不履行→債務者側に立証責任がある(自分には故意過失は無かった、と)。
※不法行為→被害者に立証責任あり。被害者が加害者の故意又は過失の立証をしなければ不法行為責任を負わせることはできない。
216-7)未成年者が他人に損害を加えた場合、その行為の責任を弁識するに足る知能を具えなかった時は、その監督義務者が賠償の責任を負い、免責されることはない。 ×
※「免責されることはない」→免責されることはある。
※監督義務者がその義務を怠らなかったことを証明した場合には、監督義務者は免責される。(民法714条)。
216-8)事業の執行につき被用者が第三者に損害を与えた場合には、当該被用者が損害賠償責任を負うが、当該被用者に支払能力がないときには、使用者が損害賠償責任を負う。 ×
※「当該被用者に支払能力がないときには」→当該被用者の支払能力に関係なく。
※使用者責任が成立するためには、被用者の支払能力は関係ない(民法715条1項本文)。
218-9)被用者が、事業の執行につき第三者に損害を加えても、使用者は被用者の選任及び事業の監督につき相当の注意をなしていたときは責任は負わない。
※民法715条但書。
※使用者は、被用者の選任及び事業の監督につき相当の注意をなしていた場合には免責される。
218-10)観光バス会社Aの運転手Bは、営業運転中に、Cが運転するD社のタンクローリー車と衝突事故を起こし、バスの乗客が負傷した。その事故は、Bの前方不注意とCの居眠り運転が競合して生じたものであり、B・Cの過失割合は3:7であった。Aが乗客の請求に応じて損害を賠償した場合には、Aは、Cの過失割合に応じてCに対して求償することができる。
※共同不法行為の加害者間においては、損害発生に対する過失割合に応じた負担部分を越えて弁済をした者は、他の行為者の負担部分につき求償できる(判例)。
218-11)光バス会社Aの運転手Bは、営業運転中に、Cが運転するD社のタンクローリー車と衝突事故を起こし、バスの乗客が負傷した。その事故は、Bの前方不注意とCの居眠り運転が競合して生じたものであり、B・Cの過失割合は3:7であった。Bが乗客の請求に応じて損害を賠償した場合には、Bは、損害賠償全額につきDに対して求償することができる。 ×
※「賠償額全額」→Cの過失割合に応じた負担部分。
※Dは被用者Cの不法行為について使用者責任を負うが、BがDに求償することができるのは、あくまでもCの過失割合に応じた負担部分についてである。
220-12)観光バス会社Aの運転手Bは、営業運転中に、Cが運転するD社のタンクローリー車と衝突事故を起こし、バスの乗客が負傷した。その事故は、Bの前方不注意とCの居眠り運転が競合して生じたものであり、B・Cの過失割合は3:7であった。B及びCが乗客の請求に応じて対等額を支出して損害の賠償を行った場合には、Bは、自己の負担部分を超える範囲につきDに対して求償することができる。
※Dは被用者Cの不法行為について使用者責任を負うので、Bは自己の負担部分を超える範囲につきDに対して求償することができる。
220-13)注文者は、注文又は指図について過失が無くても、請負人がその仕事について第三者に加えた損害の賠償責任を負う。 ×
※「過失が無くても」→過失があった場合は。
※請負人が第三者に与えた損害について、注文者が責任を負うのは、注文、指図について過失があった場合のみである(民法716条)。

※指図→さしず
220-14)土地工作物の設置に瑕疵があったために他人に損害を与えた場合において、当該工作物所有者が損害の発生について無過失であったことを証明したときは、責任を免れる。 ×
※「責任を免れる」→責任を免れない。
※土地の工作物の設置・保存に瑕疵があり、他人に損害を与えた場合、まずは占有者が責任を負う。しかし、占有者が必要な注意をしたことを証明した場合には免責され、この場合、所有者が責任を負うことになる(民法717条1項)。所有者の責任は、無過失責任であり、免責されないので注意。

※無過失責任→故意または過失がなくても問われる責任。 行政や企業に対して問われる事が多い
222-15)債務不履行の場合は、胎児は損害衣装請求権の主体となることができるが、不法行為の場合は、主体となることができない。 ×
※「債務不履行」と「不法行為」の場合とが説明が逆。
※債務不履行の場合→胎児は損害賠償請求権の主体になれず。
※不法行為の場合→胎児も損害賠償請求権の主体になることができる(民法721条)。
222-16)不法行為による損害賠償債務については、催告をまたず、損害発生と同時に延滞に陥るとするのが判例の立場である。
※不法行為による損害賠償債務は、期限の定めのない債務であるから、本来は、催告の時から履行延滞に陥るはずであるが、判例は、被害者保護のために、損害発生と同時に延滞となるとしている。
222-17)債務不履行の場合は、債権者から損害賠償請求権を受働債権として相殺できるが、不法行為の場合は、加害者から損害賠償請求権を受働債権として相殺できない。
※民法509条。
※債務不履行の場合、時に相殺を禁止する規定はないが、不法行為の場合、加害者からの相殺はできない。なお被害者からの操作は可能である。
222-18)不法行為による損害賠償の請求権は被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年間行使しないときは、時効により消滅する。
※不法行為の損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年、行為のときから20年で消滅する(民法724条)。
224-1)夫婦としての実質的な関係が存在していても、本人の知らない間に、一方が代わって婚姻の届出をした場合は、追認により有効となることはない。 ×
※「有効となることはない」→有効となることがある。
※内縁関係にある男女の一方が勝手に婚姻届を出した場合、他方の追認により、婚姻は届出時に遡って有効となる(判例)。
224-2)事実上の夫婦共同生活関係にある者が婚姻意思を有し、その意思に基づいて婚姻の届出を作成したときは、届出の受理された当時意識を失っていたとしても、その受理前に翻意したなどの特段の事情の無い限り、届出の受理により婚姻は有効に成立する。
※婚姻の届出を作成したときに意思能力を有していれば、受理された時に意思能力を失っていても、原則として有効である(判例)。

※翻意→意思をひるがえすこと。
224-3)配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、重婚関係が生ずるが、後婚は当然には無効となるものではなく、取消得るものとなるに過ぎない。
※重婚関係が発生した場合には、後婚は当然に無効となるわけではなく、前婚にとっては離婚原因となり、後婚にとっては取消原因となると解されている(民法732条、744条1項)。
224-4)女性は、前婚の解消日から必ず6ヶ月を経過していなければ再婚できない。 ×
※「必ず」→原則として。
※前婚の解消・取消の前から懐胎していた場合は、その子を出産すれば、6ヶ月を経過していなくても再婚することはできる。民法733条。
226-5)養子と養親との間では、離縁により親戚関係が終了した後は、婚姻をすることができる。 ×
※「できる」→できない。
※いったん親子関係に入った以上は、離縁により親戚関係が終了しても、婚姻することはできない(736条)。
226-6)成年被後見人が婚姻をするためには、その後見人の同意を要する。 ×
※「同意を要する」→同意は不要。
※婚姻等の身分行為は、何よりも本人意志が重視されるので、制限行為能力者制度は基本的に適用されない。
226-7)婚姻の届出が単に子に嫡出子としての地位を得させるための便法として仮託されたものに過ぎないときでも、婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があれば、婚姻は効力を生じ得る。 ×
※「効力を生じ得る」→効力を生じ得ない。
※婚姻の意思により、実質的には夫婦共同生活関係に入る意思が必要であり、それを欠く場合、婚姻は無効である。本肢のように、子に嫡出子としての地位を得させるために婚姻の届出がされた場合には、婚姻は無効である。判例。
※子に嫡出性を付与するための婚姻の効力
226-8)婚姻の取消は一般の取消と異なり、必ず家庭裁判所に請求しなければならない。
※婚姻の取消は、必ず家庭裁判所に請求しなければならない。民法744条1項。
226-9)満18才の男と満16才の女が父母の同意を得ないで婚姻の届出をし、誤ってその届出が受理された場合でも、その父母は婚姻の取消を請求することはできない。
※未成年者の婚姻には、父母の同意が必要であるが(民法737条)、父母の同意のない婚姻の届出が受理された場合には、もはや取り消すことはできない。民法744条1項参照。
228-10)婚姻が取り消されたときは、最初から婚姻しなかったものとして扱われる。 ×
※「最初から婚姻しなかったものとして扱われる」→将来に向かってその効力を生ずる。
※婚姻の取消に遡及効はない(民法748条1項)。
228-11)夫婦の一方が第三者に対して日常の家事に関して債務を負った場合、他の一方も連帯して責任を負わないことを第三者に予告した場合においても、連帯して責任を負う。 ×
※「予告していた場合においても」→予告した場合を除いて。
※夫婦は、一方が第三者に対して日常の家事に関して債務を負った場合、連帯して責任を負うのが原則であるが、他の一方が連帯の責任を負わないことを第三者に予告していた場合には、責任を負わない(民法761条)。
228-12)Aは、自己が所有する甲建物に居住していたところ、Bと婚姻後においても、同建物にA・Bで同居することになった。A・Bの婚姻後に甲建物内に存するに至った動産は、A・Bの共有に属するものと見なされる。 ×
※「見なされる」→見なされない。
※婚姻中に、夫婦の一方が自己の名で得た財産はその者の単独所有となり、夫婦のいずれかに属する財産か明らかでない財産はその共有に属するものと推定される(民法762条)。よっていずれにしても「共有と見なされる」ことはない。
228-13)妻が婚姻中に懐胎した子は、たとえ離婚後に出生したときでも、夫の子と推定される。
※妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定される(民法772条1項)。
228-14)嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知ったときから1年以内に提起しなければならない。
※なお、嫡出否認の訴えは、推定される嫡出子について、親子関係を争うための訴えである。
230-15)夫が子の出生後その嫡出性を承認した場合には、夫は、嫡出否認の訴えを提起することはできなくなる。
※民法776条。
※なお嫡出否認の訴えは、夫のみが提起できる。
230-16)妻が婚姻成立の日から200日後に出産した子は嫡出子と推定されるから、たとえ夫による懐胎が不可能な場合であっても、嫡出否認の訴えによらなければ、夫は親子関係を否定することはできない。 ×
※「嫡出否認の訴えによらなければ」→嫡出否認の訴えによる必要はない。
※推定される嫡出子であっても、夫による懐胎が不可能な場合には、親子関係不存在確認の訴えによって、夫は親子関係を否定することができる。判例。
230-17)制限行為能力者である父が認知する場合には、法定代理人の同意を必要とする。 ×
※「必要とする」→必要ではない。
※制限行為能力者も単独で有効に認知できる。民法780条。
230-18)未成年者が認知をするためには、その法定代理人の同意を得ることを要する。 ×
※「要する」→要しない。
※未成年者が認知するのに法定代理人の同意は不要である(民法780条)。
230-19)認知は、遺言によってすることもできる。
※民法781条2項。
※遺言による認知も可能。
230-20)父は胎児でも認知することができるが、この場合には母の承諾を得なければならない。
※民法783条1項。
※胎児認知は可能であるが、その場合は母の承認が必要である。
232-21)成年に達した子を認知するためには、その者の承諾を得ることを要する。
※民法782条。
※子が成年者の場合、認知するには、子の承諾が必要である。
232-22)非嫡出子が認知請求権を放棄する契約をしたときは、父に対して認知の訴えを提起することはできなくなる。 ×
※「できなくなる」→できる。
※子の認知請求権は放棄することはできないので、放棄する契約をした場合でも、子は、父に対して認知の訴えを提起することができる(判例)。
232-23)配偶者のある者がその配偶者の未成年の嫡出子を養子にするには、配偶者とともにしなければならない。 ×
※「しなければならない」→する必要はない。
※未成年者を養子とする場合、配偶者とともにする夫婦共同縁組みが原則であるが、配偶者の未成年の嫡出子を養子にする場合には、夫婦共同縁組をする必要はない(民法795条)。なぜなら、配偶者と養子となる者の間にはすでに親子関係が存在しているからである。
232-24)成年に達した者でも婚姻をしていなければ養親となることはできない。 ×
※「できない」→できる。
※成年に達した者であれば、婚姻をしていなくても養親となることはできる(民法792条)。なお、特別養子縁組の場合は、配偶者のある者でなければ養親となることはできないので注意。民法817条の3第1項。
232-25)後見人が被後見人を養子にするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
※民法794条前段の条文。
234-26)配偶者の直系卑属を養子とする場合は、養子となる者が未成年者であれば、家庭裁判所の許可を必要とする。 ×
※「未成年者であれば・・・必要とする」→未成年であっても・・必要としない。
※未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならないのが原則であるが、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合には、家庭裁判所の許可は不要である。民法798条。

※卑属→親等上、子と同列以下にある血族。子・孫などの直系卑属と甥(おい)・姪(めい)などの傍系卑属に分ける
234-27)特別養子縁組においては、養親となる者には配偶者がなければならず、かつ、原則として夫婦がともに養親とならなければならない。
※特別養子縁組は、夫婦共同縁組が原則。民法817条の3。

※特別養子縁組→家庭裁判所の審判によってのみ成立する養子縁組。養子と実方の父母及びその血族との親族関係は終了する一方、養子は戸籍上も実子に準じた扱いを受ける。
234-28)特別養子制度において、養子となることができるのは6才未満の者に限られる。 ×
※「6才未満の子に限られる」→限られない。
※特別養子縁組においては、養子は原則として6才未満でなければならないが、6才未満から継続して引き続き監護されている場合は、8才未満であればよい。民法817条の5。
234-29)特別養子制度において、養親となることができるのは25才以上の者又は婚姻している者である。 ×
※「25才以上の者又は婚姻している・・・」→原則として婚姻している25才以上の者。

※特別養子縁組においては、養親は、婚姻している者が夫婦で共同して縁組する必要がある。また、原則として夫婦共に25才以上でなければならないが、夫婦の一方が25才以上であれば、他方は20才以上であればよい。民法817条の3、4。
236-30)特別養子縁組は、実親と養親の共同請求により、家庭裁判所の審判によって、審判の確定時に成立する。 ×
※「実親と養親の共同請求により」→養親となる者の請求により。
※特別養子縁組は、養親となる者の請求により、家庭裁判所の審判によって成立する。民法817条の2。
238-1)土地賃借人である被相続人が死亡した場合、その相続人は賃借地を現実に支配しなくても賃借人の死亡により当然に賃借地の占有権を取得する。
※相続人は、被相続人の占有を当然に承継する(判例)。

※賃借地→借りている土地
※賃借人→
238-2)不法行為の被害者が慰謝料請求権を放棄したものと解し得る特別の事情がない限り、当該被害者が死亡したときは、当然に慰謝料請求権は相続されるとするのが判例の立場である。
※被害者が死亡した場合、その相続人が、当然に慰謝料請求権(民法710条)を相続する。
238-3)Aには妻Bと子C、D、Eがいる。Aが子Cの不行跡を理由にCを廃除していた場合、Cの子FもAの遺産を代襲相続することはできない。 ×
※「代襲相続することができない」→代襲相続することができる。
※代襲相続の原因となるのは、死亡・欠格・廃除である(民法887条2項)。

※廃除→被相続人に対して虐待や重大阿侮辱を加えた推定相続人について、被相続人の意思に基づいて家庭裁判所の審判によって相続権を喪失させること。
※不行跡→ふぎょうせき。身持ちのよくないこと。
※身持ち→日頃の行い、品行。
238-4)被相続人の子が相続を放棄した場合において、その者の子は、代襲相続権を有するものではない。
※相続の放棄は、代襲相続の原因ではないので、相続の放棄をした者の子は、代襲相続権を有しない。民法887条2項。

※代襲相続→被相続人の子又は兄弟姉妹が相続開始以前に死亡その他の事由により相続権を失った場合、その者の子が代わって相続人となること。
238-5)共同相続の場合における限定承認は、相続を放棄したものを除き、共同相続人全員が共同してこれを行わなければならない。
※民法923条。
※限定承認は、共同相続人全員で共同してする必要がある。
240-6)「甲土地は子Aに相続させる」との遺言がある場合、共同相続人全員の合意があっても、甲土地を子Bが相続する旨の遺産分割協議をすることはできない。 ×
※「できない」→できる。
※遺産は、共同相続人全員の合意によって、どのようにも分割することができるので、遺言に反する遺産の分割をすることも可能である。
240-7)被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を限度として遺産の分割を禁ずることができる。
※民法908条。
※5年を超えない期間、遺言で遺産の分割を禁止することができる。
240-8)Aには妻Bと子C、D、Eがいる。遺産分割前に共同相続人の一人Dから相続財産に属する不動産について共有持分を譲り受けた第三者Hは、登記が無くても他の共同相続人B、C、Eに共有持分の取得を対抗することができる。 ×
※「対抗することができる」→対抗不可。
※「遺産の分割は、相続開始の時に遡ってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない」(民法909条)。この909条但書で保護されている「第3者」とは、遺産分割前の第三者を指し、保護されるためには、登記を具備しておく必要がある。よって、登記のないHは、共有持分の取得を共同相続人に対抗することができない。判例。
240-9)相続回復請求権は、相続開始の時から5年で時効によって消滅する。 ×
※「5年」→20年。
※相続回復請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年、または相続開始の時から20年で消滅する(民法884条)。
240-10)未成年者が遺言をするには法定代理人の同意が必要である。 ×
※「必要である」→必要なし。
※15才以上の未成年者は、単独で有効に遺言をすることができ(民法961条)、15才未満の未成年者は、法定代理人の同意を得ても、遺言は不可。
242-11)被保佐人の遺言は、保佐人の同意を必要としない。
※制限行為能力者も単独で遺言することができるので(民法962条)、被保佐人が遺言をするのに、保佐人の同意は必要ない。
242-12)日付を「平成13年10月吉日」とした自筆証明遺言は、有効である。 ×
※「有効である」→無効。
※自筆証明遺言には、作成年月日の記載が必要であり、吉日と記載された自筆証明遺言は無効(判例)。
242-13)夫婦が遺言をする場合、同一の証書ですることができる。 ×
※「できる」→できない。
※遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることはできない(民法975条)。よって夫婦が共同で遺言をすることはできない。
242-14)包括受遺者は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから原則として3箇月以内に、単純もしくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
※民法990条、915条1項。
※包括受遺者は、贈続人と同様の扱われる。一方、特定受遺者はいつでも遺贈の放棄をすることができる。民法986条1項。
242-15)公正証書によって行われた遺言は、公正証書によらなければ取り消すことができない。 ×
※「よらなければ・・・できない」→よらなくても・・・できる。
※遺言の撤回は、遺言の方式に従ってしなければならないが(民法1022条)、同じ方式でなくても撤回可能。
244-16)遺言者は、その遺言の撤回権を放棄することができない。
※民法1026条の条文。
※遺言者→
244-17)遺留分減殺請求権の行使は、受遺者又は受贈者に対する意思表示によってすれば足り、必ずしも裁判上の請求による必要はなく、いったんその意思表示がなされた以上、法律上当然に減殺の効力を生じる。
※遺留分減殺請求権は裁判上行使する必要はなく、また、意思表示さえなされれば、当然に減殺の効力が生じる(判例)。
→なんのこと?

※遺留分→兄弟姉妹以外の相続人のために保証される相続財産の割合。この割合を超える遺贈や贈与は減殺請求によって効力を失う。
※減殺→げんさい。少なくすること。
244-18)共同相続人の一人が遺留分を放棄した場合には、他の共同相続人の遺留分は、増加する。 ×
※「増加する」→増減しない。
※遺留分の放棄は、他の共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない(民法1043条2項)。
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